あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜

それから数十分先生の話を聞き、ノートを取っているうちに授業の終わりを告げるチャイムが鳴る。生徒たちは全員「やっと終わった〜」と体を伸ばし、先生は「ワークのここからここまで宿題な」と言って教室から出て行った。

「はあ〜……。やっと終わった〜……」

未来がそう言い机の中に教科書やノートをしまっていると、友達から「あんた、半分は寝てたじゃない」と突っ込まれる。その時、友達が手にしているものを見て未来は首を傾げた。

「お弁当？」

友達だけでなく、クラスのほとんどがお弁当箱を机の上に出し、おいしそうなお弁当を食べている。お弁当がない人はコンビニで買ったのであろうパンやおにぎりを食べていた。

「えっ？あんた、お弁当持って来てないの？今日は給食ないんだよ」

「ああ〜！！しまった〜！！」

友達の言葉で未来は立ち上がる。お弁当がいるということを親に伝え忘れていた。

「榎本、またドジを踏んだのかよ」

「お前、クラス一……いや！日本一のドジだな」