あの日の初恋を君に〜六人の主人公〜

「あったぞ！！宝だ！！」

遺跡の奥にある祭壇のような場所で、レイフが未来たちを押し退けて駆けていく。祭壇の真ん中には宝飾が施された箱があった。

「その箱の中に財宝が？」

マルコが目を輝かせながら言うと、箱を手にしたレイフが「ヒヒッ！これで……これで……」と不気味に笑う。

「レイフさん？」

未来と帆高、そしてマルコが訊ねるとレイフは狂ったように笑い出した。そしてレイフの体を黒い竜巻のような風が包んでいく。

「勇者共、騙されてくれて助かったよ！まさかこんなにもうまくいくとは！」

竜巻が消えた後、未来たちの目の前に現れたのは考古学者のレイフではなく黒い衣装に身を包んだ悪魔だった。

「う、うわぁぁぁぁぁ！！レイフさん、レイフさんは！？」

悲鳴を上げるマルコに「うるさい」と悪魔はため息をつく。そして「お前たちがこの遺跡に行く直前に立ち寄った村で拘束した」とケラケラと笑いながら言った。

「その宝物をどうするつもりばい？」