モテ期を過ぎた後は寂しいけれど…

午前と午後に 一店舗ずつ 巡回して。

私が 本部に戻ったのは 4時過ぎ。


デスクで パソコンを立ち上げて

私は 「フーッ」と 大きな息を吐く。


「どうしたの?ため息なんか ついちゃって。」

後ろから 声をかけられて 苦笑する。

「仕事って やってみないと 大変さが わからないですよね。」

2年先輩の 石井 美晴は 

私と同じ エリアマネージヤー。


「成長してるじゃない。そこに気付いた だけでも。」

大らかで さっぱりしていて 面倒見の良い 

美晴を 私は 尊敬していた。


「私 店長の頃 マネージャーに 色々言っていたから。申し訳なかったなって。」

「みんなそうよ。言ったところで 何も 変わらなかったでしょう?だから いいのよ。坂本さんも 聞き流してれば。」

美晴の言葉に 私は クスクス笑う。


「そんなもんですよね。」

「そうそう。全部 深刻に 受け止めてたら メンタル病むから。」


私は ずっと 前向きな 楽天家だったのに。

どうも最近 気分が 滅入って クヨクヨしてしまう。


『年のせいかな…』

変わらない生活を しているけど

毎日は 恐ろしく 早く過ぎるから。


『止めた、止めた。もう 考えるの 止めた。』


サクサクと 日報を 打ち込んで。

帰ったら 何をしようかと 私は 考えていた。






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