モテ期を過ぎた後は寂しいけれど…

「坂本さん 今日は 定時上がり?」

私が 帰り支度をしていると 美晴に 声をかけられた。

「はい。急ぎの仕事もないし。帰れる時は 帰ります。」

「用事が あるわけじゃないの?」

「何も ないですよ。」

「じゃ 食事していかない?」

「いいですね。どうせ 帰っても1人だし。」


昼間の 私を 心配して 声を掛けてくれたのか。

大らかに見えて 細やかな心配りをしてくれる 美晴。


職場近くの イタリアンに 腰を落ち着けて。

「一杯だけね。」

と言って 2人で グラスワインを取って。


「石井さん。結婚とか 考えてます?」

「わっ。いきなり 直球で来たわね。」

美晴は クスクス笑って 私を見た。


「私 もうすぐ30才なんですけど。彼氏もいないし。いつまでも このままでいいのか 考えちゃって。」

「わかる~。私なんて 32才だよ。気持ちは 全然 変わってないのに。」

「でも 石井さん 彼がいるから。いいじゃないですか。」

「それが…そうでもないのよ。私の彼って ダメンズだから。」

「はぁ?」

「仕事が 続かないの。新卒から もう3社目よ。結婚なんて とても 考えられないわ。」


初めて聞く 美晴の話しに 

私は うまく返事が できなかった。


彼がいても 結婚できない人達…

美晴も 綾乃も。


でも 毎日は 容赦なく 過ぎていく。






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