モテ期を過ぎた後は寂しいけれど…

いつものように 駅のカフェで 待ち合わせをしたけど。

ほぼ 同じタイミングで カフェの前に立つ 私達。

「わぁ。ぴったり!」

「本当。初めてだね。こういうの。」

笑顔で 言葉を交わして。

私達は カフェに入らずに 歩き出す。


「今日は 混むかと思って 予約しておいたんだ。」

誠の言葉に 私は ハッとした。

誠は 気付いている…


急に 胸がドキドキして 顔が 赤くなる私。

それなのに 誠は 高層ホテルに 入っていく。


戸惑って 誠の顔を 見上げると

誠は 照れた笑顔で 頷いた。


上層階の レストランの 窓際の席。

咎めるように 誠を見つめる私に

「たまに いいでしょう。今日は 特別。」

誠は 余裕の笑顔で 私を見つめ返す。


緊張しながら 始めた食事だけど。

誠といると 不思議に リラックスできて。

だんだん 自然な笑顔で 食事を楽しんで。


デザートは フォンダンショコラに

木苺のソースで ハートのデコレーション。


これは やられた…


私が 苦笑して チョコを 渡そうとすると。


「渚。これからは 恋人として 付き合ってほしい。」


誠…それは ずるいよ。

先に 言うなんて。


返事の代わりに 私は 誠に チョコを差し出し

「本命チョコです。受け取って下さい。」


俯いた顔を 上げて 誠を見ると

私よりも 赤い顔の 誠が 微笑んでいた。








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