モテ期を過ぎた後は寂しいけれど…
「私 中学生の頃 結構 人気者だったんです。テニスが強くて。成績も 悪くなかったし。クラスでも 発言力があって…」
「なんか わかるわ。必ず クラスにいるよね?そういう子。」
「でも 昔 普通だった子の方が 結婚して 子供がいたり。私 何してたんだろうって。恋愛も 満足に できないのに。」
「いいんじゃない。そんな事。自分のペースで。誰かと 比べることじゃないし。」
「そうなんだけど…昔は 私の方が 上だったのに。今は 全然 負けてる気がして。」
「坂本さん。人生モテ期って知ってる?人には 3回 そういう時期が あるらしいよ。」
「へえ。じゃ私 1回目は 中学生の時かな。」
私は 石井さんの言葉に 感心して頷く。
「モテ期ってさ。勝手に来る時期みたいに 思うけど。違うと思わない?そういう時期って やっぱり 輝くだけの 下地があるんだよねー。」
「下地ですか?」
「そう。例えば 坂本さんなら 中学生の時って テニスの練習とか 勉強とか。他の人より 頑張っていたんじゃない?努力が 実を結ぶから 自信になって。気持ちが 前向きになるから 人気者になるのよ。」
「確かに…毎日 真黒になって 練習してた。」
「努力って 必ず報われるわけじゃないけど。でも 無駄には ならないでしょう?」
「私 就職してからは 必死に仕事したけど。思ったように 上手くいかないし。クヨクヨすることも 多くて。」
「坂本さんは 仕事でも 評価されているよ?クヨクヨすることなんて ないと思う。」
恋愛の相談を するつもりだったけど
人生相談みたいになっていて。
石井さんは 少し照れた顔で 微笑んだ。