モテ期を過ぎた後は寂しいけれど…
翌日 店舗を回って 昼過ぎに 事務所に入る。
デスクで パソコンを 立ち上げていると
後ろに 気配を感じて 私は 振り返る。
「フフフ…うまくいった?」
意味あり気に 微笑む 石井さんが
思いのほか 近くに 立っていて。
「ちょっと。止めてください。」
言いながら 頬が熱くなる私は 見破られて当然。
「いいなぁ。また ゆっくり聞かせてね。」
石井さんが 立ち去った後も 顔が熱くて。
無駄に 力を入れて キーボードを 打ち込む私。
ただ キスをしただけなのに…
高校生じゃ あるまいし…
私は 誠の反応が 嬉しかったから。
私を見る 瞳が 愛おし気に 輝くとか。
照れながら 少し乱暴に 甘い言葉を 囁くとか。
キスをする前と した後で
誠の表情は 確実に 変わっていた。
私も 変わっているのかなぁ…
誠は そのことに 気付いているかな…
仕事をしていても やっぱり 考えてしまうし。
誠のことを 考えている時は
1人でいても 胸が熱くなる。
好きな人が いるって こういう気持ちなんだ。
ムズムズするような 甘い 恥ずかしさは
今まで 感じたことがない 気持ちだから。
キスしただけで 私 こんなで。
もっと 進んだら どうなっちゃうんだろう。
期待と不安は 天秤のように 揺れていて。
誠も こんな気持ちなのかなぁ…