モテ期を過ぎた後は寂しいけれど…
30年も 生きてきたのに。
知らないことなんて まだ たくさんある。
むしろ 知らないこと だらけなのに。
わかったふりを していたから。
だから どんどん 自分が 嫌になったのかな。
朝なのに 熱く 愛し合ってしまって。
「渚…俺 ヤバい。」
「うん?」
「玉ねぎを 渡された猿かも…」
「ヤダ~。何それ?」
「夢中になって 全部 剥いちゃうでしょ?」
私は 慌てて 毛布を 胸まで 引き上げて。
裸の身体を そっと隠して 誠を見る。
誠は クスクス笑いながら
「渚 マジで 天然?」
と言って 私を ギュッと 抱き締めた。
「ヤバ過ぎるよ~。可愛くて…」
男の人に そんな風に 言われることも なかった私。
誠の胸に 耳を付けて 静かに 鼓動を聞きながら。
「何か 幸せ。」
小さな声で 言ったのに。
「それは 俺。」
誠に 拾われた声は 同じ心を 返してくれた。