モテ期を過ぎた後は寂しいけれど…
「石井さん 同棲とか 考えたこと あります?」
「あるっていうか…前 同棲してたの。」
「えっ?そうなんですか。今の彼と?」
「うん。彼が 前の仕事の時。私のアパートから 彼の会社が 近かったのね。それで いつの間にか 私のアパートに 住むようになっていたの。」
「へぇ。今は 同棲してないですよね?」
「彼 転職して 会社が 遠くなったから。」
そう言って 石井さんは クスクス笑った。
「同棲って どうですか?」
「坂本さん 同棲しようって 言われているの?」
「ううん。彼は あんまり 乗り気じゃなくて。」
「彼氏 偉いわね…同棲するなら 先のことを 決めてからの方が いいわよ。」
「先のことですか?」
「例えばさ。結婚が決まってるけど。その前に アパートが更新だから。一緒に 住み始めるとかなら いいけど。曖昧なまま 同棲しても 良い事ないわ。」
「そうですか?私 一緒に住んじゃえば 部屋代も 一つで済むし。デートも しなくて済むし。無駄が 減るかなって 思ったけど…」
「それよ。一緒に住むと デートが減るの 本当に。そうすると だんだん 相手が 当たり前になっちゃって。ドキドキとか ワクワクしなくなって。そのうち 感謝も減って。」
「へぇ…そんなもんですか。」
「私の場合だけどね。あのまま 同棲してたら 多分 別れてたと思う。ちょうど 彼が 転職して。実家に戻ったから。何か お互いに 新鮮になっちゃって。」
石井さんは 少し照れた顔で 微笑んだ。