茜くんが、甘すぎて。〖短編〗
「なーに?冬ちゃん、照れてんの?」
「て、照れてなんか...!」
ニヤつきながら覗き込んでくる彼に、照れてなんかないということを示すために、口をすぼめて眉間にグイッと皺を寄せた。
「はぁ...ほんと、マジなんなの。可愛すぎるかよ」
「訳わかりません!」
私の肩に茜くんが頭を乗せるから、私の体温と混じりあって変な気分。
むず痒くて、でも、嫌じゃなくて。
幼なじみとして抱いていた、それとは違う別の気持ち。
歯の浮くようなセリフを、こんなに簡単に言ってしまえる茜くんは、きっと他の女の子たちにも同じことを言ってるのかなって考えると胸が苦しくなる。
そんな不思議な気持ちの不安を埋めるために、私は茜くんの方に振り向いた。
それから、彼の腰にぎゅっとしがみついた。