破 恋
遅く帰っても
心配してくれる人も
迎えにきてくれる人も
····もう······いない···。。。
清々する····筈なのに····
いったい、私が··何を··した···と
言うのだろうか····
玄関をあけると
千里の荷物···
はぁっ·····明日送らなければ····
と、思いながら玄関の鍵を閉めて
着替えを持って
お風呂に入る
脱衣所でも
お風呂場でも
沢山愛しあった····
もぅ、嫌だっ
涙が溢れて······止まらない·····
いつまで···こんな···思いを
しなければ····ならないの····だろう····
また、目が腫れるのを
見越してガーゼを冷やして
目蓋にのせて横になる。
両親に連絡しなければ。
会ってほしい人がいると
両親に連絡をすると
喜んでくれた両親に····
なんと···言えば·······
私の両親は、
北海道の富良野市で暮らしている。
弟夫婦が同じ敷地内に
家を建てて仲良くしているから
心配することはないが····
父も母も北海道の出身ではないが
父が大学の先生をしている関係で
北海道へ異動となり
二人とも北海道を気に入り
居着いたようだ。
弟(悠希・はるき)は、
北海道で消防士となり
二年前に同級生の藍花(らんか)ちゃんと
結婚をした。
結婚式で二人の幸せな姿を見て
私も早く千里と······って
思ってたのに·····
もぅ···と、自分の頭を叩きながら
もう、忘れよう·····
もう、考えたくない······
何度も··言い聞かせながら
いつしか眠りについていた。
ふと目を覚まし
目蓋にのせたガーゼを外すと
私のベッドに頭をのせたまま
眠る千里がいた
あなたは···
··いったい···何を····しているの·····?···
「せんりっ」
と、言うと
すぐに顔をあげて私をみる
千里の目は悲しみで一杯で
瞳は、真っ赤になって
目の下には隈が出来ていた。
あまりの顔に···目の下の隈に···
触るとビクッと千里の体が揺れるが
すぐに私の手に自分の手を重ねた。
「眠れてないの?」
と、言うと頷く
「あれから?」
と、言うとまた頷く
「千里、もうここには来ないで
あなたと私は終わったんだよ。
家でゆっくり眠って。
そうじゃないと、体壊すよ。」
と、言うと首をずっと横にふる。
「······じゃ···じゃ···どうして
私を裏切ったの?
どうして、桜田さんを抱いたの?
私はね·····千里とずっと、ずうっと
一緒にこの先を過ごして行くと
思っていたんだよ。
なのに、あなたは·····
それを····簡単に壊した。
若い人がよかったなら
私にプロポーズなんかしなきゃ
よかったんだよ。
そしたら、こんなに···こんなに···
苦しまずに済んだのに
ひどいよ、千里は。
ひどい·····」
と、泣き崩れる私を
千里は、抱き締める
抱き締められる事にも
抵抗があり
千里の腕の中で暴れる私を
千里は、力を込めて抱き締め
「ごめんっ、ごめんねっ、ごめん。」
と、ずっと謝っていた。
どのくらいそうしていたのか
わからないが
目を覚ますと
私の目蓋の上には
タオルが置かれていて
千里は、いなくなっていた
「千里っ!!」
と、声を出して呼ぶが
部屋の中にはいなかった。