破 恋
・・莉子4️⃣
目が覚めると目の前にガーゼが見えた。
身体は千里に抱き締められている。
あ~、目蓋を冷やしてくれたんだ。
千里の優しさに嬉しくなりながら
千里のお母さんの言葉が
重くのしかかったままの心。
この先、長い人生の中で
幾度も千里を疑い、
疑心暗鬼になることが
あるだろうか?
何があっても、千里を信じられる?
笑って···過ごせる?
一度あると····また····と·····
大好きな千里を嫌いになりたくない
どうして良いのか
わからなくなっていた。
そっとベッドから出て
朝食の準備をする
少しすると千里も起きてきて
私を見ているのだろう視線を感じる
私は振りかえることが出来なくて
キッチンに立ったまま
「千里、おはよう。
顔を洗ってきたら。」
と、言うと
「莉子、おはよう。
うん、わかった。」
と、言って足音が遠ざかる。
顔を洗いリビングに戻って来た千里と
食事をしながら
千里は、何度も私に話しかけるが
「これどう?」「美味しい?」
と、私はごまかし終いには
「あっ、今日、早く行かないと」
と、言ってバタバタと用意をした。
千里は一度家に帰らないと
行けないから
もう行かなくては行けないはずだ。
「莉子、一度帰る。
また、話をしよう。」
と、言った。
だが、私は返事をすることが
できなかった。
私は、家にもいたくなくて
早めに会社に向かった。
途中、みかにLINEをして
簡単に内容を送った。
みかからは、私も会社に向かうと
連絡があって
申し訳なかったが、
やっと、ほっとできた。
出社時間まで時間があるから
カフェに入り、みかを待つ
みかは、バタバタとやってきて
「どうなってるの?いったい?」
と、言い
私は、
「わからない。」
と、答えた。
それから、
自分が今思っていることを
含めてみかに聞いてもらった。
一緒の会社にいるから
千里を見るし、みると辛く悲しい
なら離れてみるべきか····
お母さんの言っていることも
正しいと思うし
お母さんが桜田さんを
気に入っている様子も
伺える·····
「それは、あの子が嘘をついてる
からでしょう?
被害者も辛い思いをして
苦しんでいるのも莉子じゃない
他の誰でもない。」
と、言ってくれて
「大丈夫?仕事やれそう?」
と、心配してくれる
みかに
「社会人として
やらないとね。」
と、言い
自分を叱咤しながら出社した。