破 恋
日曜日
母親と朝食をとっていると
来客を告げるブザーがなり
母が玄関に向かう
「あら~」と、言う母の声が聞こえたから
ご近所の方かと思っていると
「千里。」
と、母に呼ばれて
振り向くと
そこには、ニコニコとした
桜田が立っていた。
「お前、何しにきたんだよ。
お袋には、関わらないで欲しいと
言ったはずだ。」
「お母さん、こんな風に言うのですよ。
私にあんな事をしておいて」
「····えっと、ごめんなさいね、
杏ちゃん。」
「あ~、いいんです。
お母さんは、私の味方ですから。」
「あの、その事だけど····
と、母が桜田に話をしようとした時
「お母さんは、私の味方ですよね。
それに、私····私····妊娠してるみたいで。」
と、言う桜田の言葉に
母は、びっくりしながら
ソファーに桜田を座らせ
それからは、嬉しそうに話をきいている
「あの時に、体の関係があったのかも
わからないのに
俺の子だと、どうしていえるんだ。
俺は、お前と一緒になるつもりはない。
絶対にだ。」
と、俺が言うと
「そんな·····
と、泣きはじめる桜田に
イライラが募る
「帰ってくれ
そして二度と来るな!」
と、叫ぶと
« パーン »
と、頬に痛みが走る
前をみると
悲しみと怒りを秘めた母の顔があった
「なにするだ!」
と、母親に
今まで手を上げられた事もなかった
俺は、母に言葉を投げつける
「どんな事があろうと
命に対して、なんて事を言ってるの。
私は情けないわ、千里。
貴方が間違いでも
起こした事実でしょ。
責任を持って対処しなさい。」
もうダメだ、と思った。
この人は、間違った俺に対して
責任の追求しかない。
俺は、莉子以外と共に生きて
行く気持ちはない。
ソファーに二人座り
泣いている桜田に話をしている
母親を見て
父さんごめん。
母さんを頼むと言われたけど
俺には、無理だわ。
と、言って
「母さん、俺は莉子以外と
これから先も一緒に生きて行く
つもりはないんだ。
莉子は、母さんの言葉に
納得しつつも
ひどく傷ついていた。
そんな莉子と一緒になれないのかも
しれない。
俺や母さんが沢山傷つけた莉子とは。
父さんに俺が先に死んだ時は
母さんの事を頼むと言われていたが
俺には無理みたいだわ。」
と、言うと
母さんは、
「何を言っているの?
母さんは·······
「きゃーっ······
と、桜田の声が遠くに聞こえた。