破 恋

舜二・みか◾◾

会社に着くと
野上が慌ただしく専務室に
入ってきて
「専務、大変です。」
「どうした?」
「西原が、西原が、手首を切って」
「なに?それで?」
「わかりません。
母親からの連絡でしたが
母親も動揺しているようで
今から病院へと行ってきます。」
「わかった。状況を知らせてくれ。」
「はい。」
と、言うと野上は、
専務室から直ぐに出て行った。

ばかが····西原····死ぬ····なよ·····

俺は、仕事をしながら
野上からの連絡を待つ

パソコンに受信メール
開くと泉さんからで
上海の研修風景の写真と共に
現時点での研修の進捗状況を
知らせる内容だった。
彼女を選んだことは
やはり間違いなかった。
支社からも称賛の電話をもらっていた。

だが、皮肉なのか
何か、感じる物があったのか

そんなことを考えながら
午前中は過ぎた。

午後が始まる前に
野上が専務室にやってきて
報告を受ける
母親からの言葉らしいが·····

土日、西原は母親と
話をする為に帰ったのは
みかからきいていた。

すると日曜日に桜田がきて
妊娠していると言う桜田に
酷いことを言う息子を
叱ったのだと言った。

ちっ、どこまでも
腐ってやがる。

で、西原の容態は···と言うと
「かなり深く切っていて
出血も多かったようですが
縫合も終え
峠も越えたようです。」
と、言った野上の顔は
ほっとしたような
何か言いたげな顔をしていた。
「他に何かあるのか?」
「実は·····
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