破 恋

舜二◾◾

叔父の社長と従兄の副社長に
全てを報告し

山田と桜田の進退を
二人の判断に委ねる

そして、
二人が出した結論は
山田は、僻地の資材倉庫へ
桜田は、解雇、と決まった。


山田と桜田を呼び出す。

桜田は、人事に呼び出しを
させたから少し遅れるだろうから
先に山田と話す。

「失礼します。」
と、言って専務室に入ってきた
山田は、俺以外に人事部長がいたので
怪訝な顔をした。

「座ってくれ」と、俺が言うと
俺と人事部長の前に腰かけた。

山田が座ると直ぐに人事部長が
「営業部 山田 望
本日より新潟県佐渡営業所
資材管理部へ移動を命ずる。」
「えっ?····なぜ?」
と、山田が言い出した時
« コンコン »
と、ノックと共に
人事部の女性が桜田と一緒に
入ってきた。

山田は、ぎょっとした顔をしたが
桜田は、下を向いたままだった。

人事の女性は、頭を下げ
そのままでていく。
俺は、
「桜田 杏か?」
と、訊ねると
「····ハイ··」
と、答えたので
「山田の隣に座ってくれ。」
と、俺の言葉で
桜田は、山田が此処にいることを
知ったようだ。

桜田は、端にちょこんと座る
人事部長が
「営業部 桜田 杏
本日をもって解雇とする。」
と、言うと
両手を握りしめていた。

再度人事部長が
「不服はないと思いますが
山田さんは、十日以内で
あちらに出向いて下さい。
桜田さんは、解雇ですが
退職金は、お支払致します。
以上です。」
と、告げると人事部長は
俺に頭を下げて専務室からでて行った。

三人だけになり
俺は二人の様子を見て
雅紀からの報告書を
それぞれの前に置いた。

山田は直ぐに手を取り
唖然としていた。

桜田は、取ることもせずに
下を向いたままだった。
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