破 恋

山田は、妻と離婚してから
泉を密かに思うようになるが
歯止めがきかなくなり
ストーカーまがいの事をして
前回注意をされた。

だが、桜田が入社してきて
営業部のエースである
西原と泉の交際を邪魔するように
なった。

初めは見ていただけだが
桜田がどこから聞いたのか
山田が泉に気があることを知り
話を持ちかけた。
自分と西原
山田と泉が引っ付くように。

手始めが営業部の飲み会
帰り際に山田が西原に
酔ったふりをしている桜田を
送るように言い
桜田は、タクシーで眠る西原を
タクシーの運転手に頼み
部屋まで運んでもらう。

一人で運んでいたら
ばれなかったかもしれないが
自分よりかなり大きい西原を
連れて行くのには無理が
あったようだ。

その後で既成事実を作ろうとしたが
飲んでいる西原の分身は
まったく機能しなかった·····と。

まあ、色々手を尽くしたようだが···
笑える。

そのことを山田に飲みながら愚痴った
あげく山田と関係を持ったと。
どんだけ軽いんだ。
(店の店員が耳にしていた)

「なぁ、桜田さんよ
あなたの妊娠は、嘘か本当か?」
と、訊ねると
山田がぎょっとした顔をした。

「山田さんの子か?」
と、言うと首をふる
山田は、ほっとした顔をしたが
お気楽な奴だ。

「桜田さん、
あんた自分のやった事
わかってるか?
あんたのせいで二人がどれだけ
苦しんだのか、わかってるか?
西原に何か起こっていたら
あんた罪にとわれても
しかたないんだぞ。」
と、俺の言葉に
山田は、青い顔をした。

「あんたも、若い子に
良いように扱われて
バカだな。
泉さんがせっかくかばって
課長になれたのに。
しっかり生きろよ。
人生長くないんだ。」
と、言うと
頭を深く下げる山田
「桜田さん
西原の事は、民事とかにも
なり得ないから頭に置いて
いて下さい。
ご両親には、我が社の顧問弁護士より
連絡させて頂きました。
あなたに連絡がつかない場合は、
ご両親に連絡をする事に
なっていますので、
宜しく。」
と、此処までは穏やかに······


俺は立ち上がり
テーブルを蹴飛ばし
「舐めた前してんじゃねえぞ、小娘
二度と泉さんや西原の前に現れるな
現れた時点であんた潰してやるから
覚えておけ。
二人とも、でていけ!!」
と、怒鳴ると
山田は、とっさに立ち上がるが
動かない桜田を無理矢理引っ張り
出て行った。

社内には、社内メールで
全社員に二人の辞令は
掲載されている。

社外にでるまで
針のむしろだろう。

俺は、みかに話があると
LINEをした。
まだ、西原の話をしていない。

少しして野上を呼び
「野上さん、明日より
営業部課長を任命します。
大変だろうが宜しく頼む」
と、言うと
へえっと言う顔をしたが
「ご期待に沿えるよう
頑張ります。」
と、頭を下げた。

明日、西原の所に言ってくる
と、俺が言うと
自分も、と言ったが
営業部の立て直しがあるから
そちらに専念してもらいたい
と、伝えた。

野上の後の主任の起用とかは、
野上に一任する
と話してある。
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