破 恋

莉子◾◾

上海に来て10日が過ぎた。
この調子で行くと
ひと月かからないのでは
ないかと思っている。

専務にも報告はあげている。
日本の言葉は
同じ言葉でも使い道が違うと
まったく別の物になるから
そこが難しい。
日本人の自分でも難しいのだから

でも、下手にかじっていない分
こちらの方は、素直に受けいれられる
すごさがある。

支社からホテルに戻ると
みかより着信・・

「かわりない?」
「うん、日本の方は?」
「ないよ。毎日美月と頑張ってるよ。」
「ごめんね。二人で大変だよね。」
「問題ないよと言うと語弊があるけど
何とかやってるよ。
莉子のそちらでの活躍は
舜二からも聞いているよ。」
「本当、専務とみかには
感謝してる。ありがとう。
あのまま日本に居たら
壊れていたかも。
こちらに来て忙しくしたり
支社の人達との交流が
温かくて新鮮で心が楽になっているの。」
「そう、そうか、良かった。
あのね、莉子······


みかの話は····

山田課長や桜田さんの進退について
山田課長や桜田さんのもくろみ
桜田さんの嘘·····だった。

少しホッとした自分·····
少し悲しむ自分·····がいた。

千里は、この事を知って
どう思い···何を考えているのだろうか····
あの日、離れてから
千里の事は····
何も·····わからない····。

携帯もないし
私の所在も知らないのだから
当たり前なのだが·····

千里·····あなたは····いま····
何を····思って····いますか·····
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