破 恋

指定されたお見合いの場所へ
向かう·····

憂うつではあるが
社長命令となれば無下にも
できない·····
専務からは、
「嫌なら俺が
口添えしてやる。」
と、言って貰えたが
それなら、
最初から断ってくれたら良いのに~
と、思ってしまう。

はぁっ、とため息をついて
お店の中にはいると
従業員の方から
「ご案内致します。」
と、言われて付いて行く
「こちらになります。」
襖をあけられ
中へと託される

中には、社長と専務と男性が
座っていた
「泉君、座って下さい。」
と、社長に言われて
「はい。申し訳ありません。」
「かまわんよ。ささっ」
社長を上座に
専務と男性が座る前に
私の座が設けられていたので
そちらに座る。

大きな窓からは、中庭が見え
それは、それは綺麗で
しばらくみいってしまう。

社長より
「今日は、無理を言ってすまんな。」
と、声をかけられ慌てて顔を戻し
「いえ、とんでもありません。」
と、答えると
「まぁ、固くならずに頼む。」
と、言われ
「はい。宜しくお願い致します。」
と、頭を下げる。

「泉君、こちらは
私の友人の息子さんで
有馬 佑翔(ありま ゆうと)君
30歳。
佑翔君は、財務省に勤務しているんだ。」
と、社長が紹介をすると
「初めまして、有馬と申します。
今日は、お時間を頂いてありがとう
ございます。」
と、丁寧に挨拶をされ
「いえ。初めまして、
     泉 莉子と申します。」
と、ご挨拶を返すと
「おじさん、凄く綺麗な方ですね。
良かった、今日きて。」
と、言う彼に何と言って良いか
わからずにいると
「泉さんは、綺麗なだけでなく
仕事もできる。
英語、中国語は、ペラペラ
ドイツ語や韓国語も
勉強中だと言うが、問題ない。」
と、専務が言うと
社長は、嬉しそうに頷いているし
有馬さんは、驚いた顔をしながら
ニコニコしていた。

私は恐縮しっぱなしで
困り果てる。

四人で、しばらく話をすると
社長が
「佑翔君、ここの中庭は
見ごたえがあるんだ。
どうだ、泉君と一緒に。」
と、言う。

あ~、もう止めて欲しいと
思いながら
「是非、一緒に」
と、言う有馬さんに
従うしかなく、私はチラリと
専務を見て有馬さんと部屋をでた。
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