破 恋
何も言わない、私を心配して
千里は、
「莉子っ?!りこっ?」
何度も呼んだらしい
そして·····
「ごめん。そんなに····嫌だった?
本当に、ごめん。······勝手に。
見合いの席も壊すような事して。
佑翔は、専務も言ったが
本当、良い奴なんだ。
悔しいけど、あいつなら
莉子を幸せに出来ると·····
やはり·····嫌だ·····
ごめん、頭混乱してるわ
帰るな。
莉子、送ってやれないけど
気をつけて帰って。
元気で······イテ······」
と、千里は踵を返して
その場から去って行く。
私は、その後姿を
じっと·····見つめていた。
私の横に人の気配が·····
その人からハンカチを
差し出されて
ん?と·····思っていると
私の瞳からは涙が溢れて
顎から下にポタポタと
落ちていた。
「西原は、16時の便に乗る。
後は、君次第だ。」
そう、専務は言って立ち去った。
本当に、どちらの味方やら····
専務のハンカチで涙を何度も
拭いて、腕時計を 見る
今、14時·····
私は、タクシーに手を上げて
乗り込むと
行き先を告げた。