破 恋
専務にも
お前にそんな資格があるのか
と、言われた。
その通りだ·····
やはり····もう····遅すぎた····か·····
空港に着き
搭乗の手続きをする。
手荷物もないし、身軽だ。
それでも····もしかして···と
中に入らずに
入り口付近に腰かけ
携帯から莉子の写真を
広げて観る。
佑翔に見せた写真も
綺麗だが····
プロポーズの後
指輪を嵌めた手をかざしながら
涙する莉子の顔は
綺麗で···可愛くて····愛しい顔を
していた。
俺は写真を取りながら
嬉しくて涙がでるのを必死に
我慢した。
そこへ·······
「はっ! はっ! どうしてっ
言い逃げ、しちゃうかなっ
もぅ、息切れしちゃう、はっ!!」
膝に手をついて、
俺に文句を言う····莉子に
「·····りこっ?」
と、言いながら立ち上がると
携帯が落ちて
莉子の写真が画面いっぱいに
写っていた。
莉子は俺の携帯を拾いながら
「盗み撮り?」
と、微笑む莉子を
思わず抱き締めた。
「きゃ~っ、千里、外、外!!」
と、騒ぐ莉子の頭にキスをすると
湯気がでるのではないかと
思うほど赤面する莉子に
回りから、冷かしの笛がなる。
俺は、莉子の手を引き
搭乗ゲート近くの廊下に
引っ張っていき
莉子にキスをする。
莉子は、はじめは背中を叩いていたけど
直ぐに俺の背中を握り締めてくれた。
俺は、中々キスを止めれずに
何度も、何度も角度を変えて
せめたてると
背中をポンポンと叩かれて
仕方なく莉子の唇から
自分の唇を離す
「もぅ、千里のばかっ。」
と、真っ赤になっている莉子が
たまらなくて、また、キスを
しようと顔を近づけると
莉子に口を塞がれて
「話が先。時間ないでしょ。」
と、言われて頭をかいていると
「千里、待ってる。
きちんと仕事をして
日本に戻って来て。
そのときに、さっきの返事
させて頂きます。」
と、言うから
「ええっ、受けてくれたんじゃないの?」
と、言う千里が可笑しくて
笑っていると·····
千里の乗る飛行機の搭乗が
始まった。
一気に寂しさがわくが
もう、大丈夫だと
自分に言い聞かす。
「わかった。
帰国する日 空港に迎えに来て。」
と、言うから
「必ず。」
と、答えた。
そして後を向きゲートに
向かう千里に
「千里、待ってるから。
私の元に必ず帰って来て。」
と、言うと
バタバタと千里が走ってきて
私をもう一度抱き締めて
「愛してる。あの頃から変わらず。」
と、耳元で囁いて
ゲートから中に入って行き
一度振り向いて
手をふりながら
電話の仕草をした。
私は、うんうんと
何度も頷いて見せた。