破 恋
千里の私物を片付けて
箱の蓋をして玄関に運び
キッチンにある
千里の食器やお箸
マグカップ、お湯のみ
全てごみ袋にいれていく
涙がボタボタを床に落ちていく
一緒に買って
「お揃いだね」って、
嬉しそうにしていた····千里····
私が作った手料理は
きちんと残さずに食べてくれた···千里···
「莉子が洗ってくれたものは
いつもフワフワで良い匂い。」
だと言って洗濯物をクンクンと
匂い頬ずりをする····千里····
洗面台の歯ブラシや
髭剃り、洗顔後につけていた
ローション
「早く夫婦になって
帰らずにずっと莉子といれたら
良いのに。」
と、口を尖らせながら
言っていた·····千里····
どこで、千里は···私は····
間違ってしまったのだろうか····
後から····あとから····
涙が····溢れる······
« ピンポーン »
涙を拭きながら
玄関を開けると
心配顔の みかが立っていて
私を抱き締めた。
私はみかの胸で
沢山泣いてしまい
そのまま、寝てしまったようだ。
目を覚ますとソファーに寝ていた
体にはブランケットが掛けられていた
あっ、ソファーの下に人がいる。
みかが居てくれたんだ
と、思いソファーから
降りてブランケットを取り
かける······
だが·····
寝ていたのは····みかではなく
·······千里····
ソファーの下のラグ上に
コロンと小さくなって
寝ていた。
いつ···きたのだろうか?
何しに···きたのだろうか?
「千里、起きて」
と体をゆすると
その手を握りしめる千里
「離して」
と、言うといやいやと
頭をふりながら起きあがり
私と目をあわせる
「はっ」息をのむ私····
千里の目蓋は腫れ
瞳は真っ赤になっていた。
彼も辛かったのだろうか
彼も泣いて過ごしたのだろうか
しばらく、見つめあっていたが·····
そらしたのは、私。
「帰って。そして、もう来ないで。」
と、言うが
彼は、頭をふるだけで
動こうとしない。
何度、言っても動かない
千里を残し
私は寝室に移動して
ドアを閉める
千里は、帰るだろうか?
そんな風に思いながらも
泣きつかれた体は
眠りに引きこまれてしまった。
そんな私だが
朝早く目が覚めて
せんりっ、と思うが
聞き耳を立てても
音はしない·····帰ったか·····
そっと、寝室のドアを開けると
ひゃっ···なに····
··········もぅ·······バカ····っ
千里は、寝室の前の廊下に小さく
なって寝ていた。
千里の瞳には涙がたまっていて
頬には、涙の痕が·····
秋とはいえ
夜は、布団なくては···
きっと·····寒い·····
本当に····バカっ·····だっ