破 恋
千里の背中をみながら
玄関が閉まった後も
その場にボォっとしていた
なんとなく目を動かすと
時計が目に入り
« ハァッ »と
慌てて仕事へ行く準備を始める
髪は軽くアップにし
目はメガネをかけた。
隠しきれないが仕方ない
その日、一日
何とか仕事をこなす
みかと美月にカバーしてもらいながら
今日乗りきれば週末だ。
今日は、みかと美月と
食事にいく約束をしている。
千里も仕事には来ているようだが
私は、あっていない
あのまま、帰ってから
着替えて出社したのだろうか
ああっ、考えなくてよいのに
頭の中は、千里···· 千里····だ。
嫌になる。
幸い桜田さんにも
あっていない。
仕事には来ているようだが·····
夕方になり
バラバラの時間にあがり
三人が良く行く居酒屋に
集まる。
「ごめんね、二人とも。
社会人として、なってないよね。」
「バカ、何言ってるの。
私や美月に遠慮なんか、
要らないの。」と、みか
「そうですよ。先輩。
だけど、桜田、ほんと許せない。
あんなやつぶりっ子で嫌い。
なんであんなのに騙されるんですかね
男達は。」と美月
「で、どうなってんの?」
と、みかに訊かれて
あの日桜田さんの事を
問いただした時から
昨日の夜の話しまでをした。
二人は、言葉が出なかったが
私は、
「やっぱりもう無理だと思うの
それに指輪も返したしね。
なんなんだろうね?
若い子が良いなら
プロポーズなんかしなきゃいいのに。
桜田さんが、言って来なかったら
千里は、言うつもりなかったと
思うの。
だから、結婚する前に
わかってよかったのかと
それだけが救いかな。」
と、言うと
「「莉子っ···、先輩···」」
とみかと美月は泣きそうになるから
「あはは、二人にそんな顔させて
ごめんね。
今、千里とは、メールだけしか
連絡手段がないの
メールに鍵と荷物を送る事と
私の物は廃棄して鍵は、返して
送ったのだけど
今朝、置いてなかった。」
「千里は、別れることに
納得したの?」
「みか先輩、納得するもなにも
西原さんは、浮気したんですよ
それもあの桜田と。
ありえませんよ。
可愛くもないのに
可愛い子ぶっちゃって。
営業にいる同期が
手を焼いてると言ってましたよ。
男性人が営業から帰ってくると
お茶をだしたり
何か急ぎありますか?って
張り切って
男性人が誰もいないときは、
爪を触ったり
パソコンでネットを
検索したり
パソコンが得意で
仕事が早いかも知れませんが
他の営業事務の人は、
仕事してるのにって」
「まぁ、狙った者は
落とすまでやる、と言うのは
聞いたよ。
今彼女のターゲットが
千里だと言うことも。」
「だけど、西原さんと莉子先輩の
事は皆知っている事ですよ。
それなのに。
それに引っ掛かる人も
人ですけど···」
と、言う美月を
「美月!!」
と、みかが止めるが
「良いんだよ、みか。
美月が言ってる事は正しいから」
と、言う私に
「莉子先輩、ごめんなさい。
だって、莉子先輩みたいに綺麗で
優しくて、仕事もできる人を
裏切るなんて、許せなくて」
「ありがとう、美月。
みかも、ありがとうね。
あなた達がいてくれてよかった。」
と、言い
ブチブチ美月が言うのを
嗜めたり、同意したり
自分の事のように
怒ったり泣いたりしてくれる
二人には、感謝しかない。