血の舞
「わー!すごい!」

そこは家から歩いて10分程度で着いた、ボルテーノの中心部だった。
人々で賑わい、私は思わず興奮する。
今日は何かのお祭りの日だったのか、広場では音楽や踊りをやっていた。

「この街に引っ越してきて良かった!」

すると、ふといい香りが辺りに広がっていた。

「なんだろう。」

匂いにつられ、歩いて行くと一件のパン屋の前にたどり着く。
ちょうどお昼の時間なので、パン屋内は人でいっぱいだった。

「うーん、買って行こうかなぁ。」

どうするか迷っているうちに私の体はパン屋に入ってしまった。

「中はもっといい香り…!」

パンが並び、店内にかかる音楽がまた居心地が良い。
私は1つずつ、パンを見ていく。

「あっフランスパンだ!」

私のお父さんはフランスパンが大好きで、全てのフランスパンを食べ尽くすって言っていたほどだ。
迷わずトレーにトングで入れた。

「あとは……うん、こんな感じかな。」

行列ができているほど混んでいたが、これもまた私にとっては新鮮なのである。
レジを待つ間、私は外を見た。
目についたのは子供達が遊ぶ姿。

(いいなぁ。私もあんなふうに……。) 

友達と遊ぶ姿を想像して、幸せな気持ちになる。
そして待つこと15分、レジを終わらせ外に出た。
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