あの虹を見に行こう
プロローグ
放課後、帰り道。
最近は日が落ちるのが遅いせいか、夕暮れは青みがかかっていて、まだ明るい。
そんな高校三年生の夏の始まりは、どこか特別な空気をはらんでいる。
その日は、いつにもまして暑い日で。
授業で見たビデオの、世界のきれいな景色についての話をしていた。
特に、ペルーにあるという色とりどりのカラフルな山脈の映像は、私たち四人の中に強く焼き付いていた。
「……そうだ!」
先頭を歩いていた楓が突然振り返って笑ったのは、その時だった。
「ねぇ、いつか私たち四人で、あの虹色の山を見に行こうよ!」