あの虹を見に行こう
「いいんじゃない」
それまで黙って聞き役に回っていた和樹の言葉に、楓は目を輝かせる。
和樹はいつも、全面的に楓の味方をする。出会ったときから、そうだった。
苦いことを思い出して、私は……少し複雑な気分になる。
「でしょー!和樹なら賛成してくれると思った!」
「よしじゃあ決まりだな!」
「待って待ってまだ結衣はどう思うか聞いてないから!」
盛り上がろうとした歩夢をなだめて、楓は私に向き直る。
「ね、どうかな?」
楓のその、いつも私が話すのを待ってくれて、ちゃんと意見を聞こうとしてくれるところが、私は好きだった。
やっぱり楓には敵わない。
自然と私にも笑みが漏れる。
「うん。いいと思う。……私も、大人になっても3人に会いたいな」
「お、いいこと言うじゃん」
「……まぁ、そうだな」