あの虹を見に行こう

そっと和樹を盗み見ると、目が合って、私は呆れたように笑って見せた。

和樹も同じように笑って返してくれる。


でも、私は知っていた。

手を繋ぐ二人を、主に楓を見る和樹の目の哀しさに。

さっきだって、笑みを口元に残してはいたが、どこかぎこちない顔をしていたことも。


私が和樹に対して向けているであろう表情を、和樹は楓に向けている。

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