あの虹を見に行こう



「じゃあ、またな」


歩夢と楓、和樹と私で別れる地点まで来て、歩夢は軽く手を上げて言った。

「また明日」

「じゃあね」

和樹に続いて私も別れの言葉を口にする。


「……楓?」


黙ったままの楓の瞳には、さっきのように涙が溜まっていた。

やっぱり、今日の楓はおかしい。

男子二人も、心なしかおろおろしている。


「大丈夫?……もしかして体調悪かった?」

私が近づくと、楓はふるふると首を横に振った。とうとうぽろりと涙が落ちて、私は余計に心配になる。

「なんでもない、さっきの思い出し泣きだからさ」

< 7 / 10 >

この作品をシェア

pagetop