あの虹を見に行こう

楓は私をもう一度抱き締めると、今度はすぐに自分から離れて、


「バイバイ、結衣。和樹」


泣き笑いの表情を浮かべてそう言うと踵を返し、家の方向に向かいさっさと歩きだした。

「ちょ、はええよ!」

歩夢が慌てたように楓を追いかけて、二人が並んで、そして少しずつ見えなくなっていく。

「行こっか」

「うん」

私と和樹は黙ってそれを見送ったあと、どちらからともなく足を進めだした。
< 8 / 10 >

この作品をシェア

pagetop