誘拐は激甘生活の始まりII
手錠でつながれた状態のまま、杏菜は初めて部屋から出ることになった。



お城の中など、杏菜は今まで想像したこともなかった。そのため、あちこちに置かれた調度品を見つめ、豪華絢爛さに驚いてしまう。

「そんなに驚かなくても、ここが杏菜の家になるんだよ?」

ダミアンが微笑み、杏菜は「それって……」と顔を赤くする。その言葉の意味がどういうものかわかっているからだ。

「言ったでしょ?僕から離れられなくするって」

ダミアンはそう言い、杏菜の手を握る。指を絡め合うそのつなぎ方に杏菜の頬が赤く染まった。

お城の中を歩いていると、使用人らしき人と何人もすれ違った。杏菜とダミアンを見て優しく微笑んでいる。とりあえず、自分の存在が受け入れられているのだと杏菜は理解した。

「ここでディナーにしよう」

ダミアンがそう言い、杏菜を連れて来たのは美しい花が咲き乱れる中庭だ。中庭にはテーブルが置かれ、ワインやステーキなどが並べられている。
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