好きな人が消えた

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チャイムが鳴ると、教室中が動く。

購買に行く人、早弁を済ませて部活の昼練に行く人、授業からそのまま寝てる人。

そして私も、友達のもとに動く。

「今日、鈴奈(れいな)の家でテスト勉強しようよ!」

「良いけど、早苗(さなえ)は理系クラスじゃん?勉強の内容違うのに、いいの?」

「え、だめ?」

「いや、いいけどね...」

鈴奈は苦笑いで私を見る。
昔から、テスト勉強は鈴奈の家でするのが、私のルーティンだった。鈴奈はふわふわ系のの女子。実はしっかりしてるんだけど。

私は1人だと捗らないし、塾の自習室は静かすぎて息が詰まる。

「じゃあ帰りにお菓子でもかって行こう。」

「その時間で勉強できるよ...。」

そして鈴奈を困らせるまでがワンセット。

「爽太くんは?」

「あぁ、爽太は最近1人がいいみたい。空くんと電話しながらやってるみたいだし。」

「そっか、じゃあ安心だ。」

「安心って、どいういこと?」

「もう、高校生の恋愛関係じゃない男女が2人きりで部屋で勉強とか、ダメだよ!」

恋愛関係の男女が2人きりの方が、ダメな気がするけど...。

「じゃあ4人で勉強しようか?」

「それは...良い案だね。」

「あっ、爽太!」

「あ?」

あ?って...。本当に口の悪い奴...。

「今日放課後空いてない?鈴奈ちゃん家で勉強するんだけど。」

「今日は空と2人で勉強するからダメだ。」

「...わかった。」

空くんと2人で勉強か。いいなぁ、男だからって空くんと!

「鈴奈、今日はファミレス行こう。」

「ダメ、私の家で勉強するんでしょう?」

「...はーい。」

そういうわけで、今日は鈴奈と2人きりで勉強することになった。

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