春が来る前に、


「笠野くん、アイス、買おうか」


おそらくティッシュを買おうとして入れなかった、あのコンビニへいこうよ。


春を感じることなく夏になってしまったわたしたちには、夏を感じるほかないのだから。


彼は目を丸くしてから、「いいね」と笑った。


春を過ぎてしまったけれど、たどり着いた季節が夏でよかった。


涙なんて、汗と重なってどっかにいくよ。


重いリュックを背負って、アイスを買って、夏、夏、夏。


夏を感じる。

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