空想
自分の足音も聞こえない程に、
人々の話し声やモニター広告から流れる音、様々な音が騒音となって僕の頭に響き渡る。
ポケットの中で震えるスマホに気が付かない。
交差点の真ん中で留まってはしゃいでいる人にカメラが向いている。
横目に通り過ぎる人や怪訝そうに睨む人、
それをものともせずに踊りつづける人。
怒鳴る声。
喫煙所の外にまで溢れている喫煙者。
その中には母や父という続柄の人もいる。
皆がスマホに目線を落とし、
高いビルディングで見えなくなりそうな空は、気にも止めず青々としている。
男と女の駆け引き。瞳孔が開いている。
セックスの後には何事も無かったかのように日々の営みに戻る。
早くなる鼓動。震える手足。
見えなくなる空。人々。アスファルト。
車の音が通り過ぎる。
自転車の音が通り過ぎる。
人々の目線が胸に刺さる。
SNSに書き込んでいる。
それに連なり、意味のない議論が繰り広げられている。
もう、
考えるのを辞めた。
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