好きと掟の間に
「どう致しまして。」
「ミナちゃんは?
Tシャツ探し?」
「ううん、あたしは付き添い。」
「付き添い?誰の?」
「あたしの…
あ、ちょっと待って?」
携帯のバイブが鳴っていた。
「はい。」
『あ、姉ちゃん?
ガット張りまだ2時間くらいかかるってさ。』
「マジ?まあいいや。
まだ陸上コーナーにいるから。」
『あ、ホントだ。
…え?!』
「は?」
後ろには既に妹が来ていた。
パコンと携帯を閉じると同時に妹の口が開いた。
「もしかしてその人が例の?」
「あー…
まあいいか、ばれちゃったなら。
和広君だよ。」
妹がニヤリと笑った。
「へー。
あ、妹のカナです。」
「ああ、妹の付き添いだったんだね。」
何かを思い付いたように明るい顔をする和広君。
コロコロ表情が変わって面白い。
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