年上の旦那様は若奥様にメロメロです!!
「私とフィリップのいいとこどりした美貌と、頭の良さと人当たりの良さで乗り切っちゃうから、あの子本気の恋をしたこともないのよ? いい歳の男がよ? だから、ダメだと思ったら思いっきり振って良いですからね?」
夫人、自分の息子だけど滅多切りですね……。
でも、そんな潔い夫人の人となりが私は結構好きだと思う。
「はい、リリエラ様。 まずは、少なからずハルバート様を知ることから始めてみます。今日のドレス選びはよろしくお願いします。流行に疎いので、リリエラ様に助力いただけると安心です」
こうして、婚約者となったハルバート様とは顔を合わせぬままに三日目が始まり私は怒涛のドレス選びに忙殺されたのだった。
ドレスの生地やレース、果ては靴に宝飾品の数々も見ては選んだり、ほとんどをリリエラ様に選んでいただいたりしているうちに、気づけばディナーの時間帯になっていた。
お店の方々もお疲れ様です……。
半分以上魂を飛ばしつつ、ダイニングルームへとだどり付けば、そこには帰宅したハルバート様とフィリップ様がすでに席に着いていた。
私とリリエラ様が部屋に入ると即座にハルバート様は立ちあがり、私のそばに来てエスコートを始める。
こんな短距離でそこまでしなくともと思いつつも、出されたら避けられない腕にとりあえず手を乗せたのは選択肢がそれしかないからである。
私が、遠慮がちに乗せるとハルバート様は嬉しそうに微笑んで席に連れて行くと、椅子を自ら引いて座らせてくれた。
どこまでも優しいその様子に私は、優しさからくる救済的な婚約であるはずなのにドキッとしてしまう。