年上の旦那様は若奥様にメロメロです!!

 見た目が良い、公爵様だからだとこのドキドキを異性慣れしていないことにしてなんとかごまかしつつ、夕飯を和やかな雰囲気のままに過ごし私に与えられた部屋へと戻る。

 公爵家のメイドも執事や従僕の皆さんも優しく、すごく丁寧に扱われていることは一目瞭然。
 入浴も手伝ってもらい、肌触りの良い夜着を着せてもらうとメイドさんは水差しとグラスを置いて部屋を出る。

 ようやく一人になると、そっと息を吐き出す。

 辺境伯邸の自分お部屋より広くて、綺麗で居心地のいいお部屋。
少しここにいるのが自分でいいのかと思うけれど、リリエラ様もフィリップ様も優しく、婚約者になったハルバート様も私を大切と言わんばかりに丁寧に接してくれる。

 しかし夜になるとハルバート様は招かれた夜会に出ると執事に伝え、用意された馬車で出かけてしまった。

 お付き合いもあるだろうし、やはり忙しいのだろう。
 綺麗な夜会用のコートにウエストコート、トラウザーズに深紅のクラヴァットを着用し出かけて行った。

 その様子は、まさに社交界で噂の貴公子であったが私は見ないふりをした。

 あんな麗しい公爵様とドレスができれば一緒に夜会に出なければならない、そう思うと憂鬱でしかないだろう。

 あんな美貌の公爵様とこんな小娘が婚約者では、やはり並んでもいい絵にはなるまい……。
 漏れ出そうになるため息を、枕に顔を押し付けて少しでも小さくなるようにするが、到底収まりそうにはなかったのだった。
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