年上の旦那様は若奥様にメロメロです!!
「しかし、あのシャロン公爵が婚約するとは。どういった心境の変化があったんだい?」
気やすくなった口調に周囲が少し離れたことを悟るも、音量は落としつつ答えた。
「そうだな、ようやくこの人だという人に出会えたからだと言っておこうか」
シャルロッテを思い浮かべて答えた俺の表情は、未だかつてないほどに甘かったらしい。
ルーファスとビアンカは顔を見合わせると、クスッと微笑んで俺に言った。
「ハルバート、本当にいい人に巡り合えたんだな。シャルロッテ嬢と並んで顔を合わせるのを楽しみにしているよ」
そうして、第二王子夫妻との会話で俺に婚約者が出来たことはあっという間に知られてこれまで寄って来ていたご婦人やご令嬢もそばに寄らなくなった。
しかし、油断ならない視線はいくつか感じたので心に留め置く。
シャルロッテのための清算は早く済ませたい、今夜のうちに目途をつけねばと視線のいくつかに目線を合わせて会釈を返す。
それは外向きの公爵としての顔でであり、察しのいいご婦人数名はこれで分かってくれたようだった。
あと一つ、夜会に出れば噂も浸透し俺の周囲も落ち着くだろう。
早くシャルロッテにアプローチしてこの婚約が本気で、結婚したいのだということを彼女にしっかり伝えなければ……。
一人での夜会出席がシャルロッテにさらなる誤解を育んでいるのには、次にしっかり接するまで俺は気づかなかったのだった。