年上の旦那様は若奥様にメロメロです!!
シャルロッテに犬を飼うと言ってから、すぐに俺は友人で犬を飼っているレオナルドの屋敷へ行くことを連絡して、翌日には顔を出した。
「お前がここに来たいというなんて珍しいな。 なにがあったんだ?」
久しぶりの俺の訪問に、出迎えてくれたレオナルドとその夫人に小さな子ども達は驚いている。
友人夫妻に会うのは、だいたいどこかの家の夜会や舞踏会でなのでお宅訪問したいというのは初めてだったのだ。
「突然の訪問を受けてくれて感謝する。 レオナルドは以前、屋敷で犬を飼っていると言っていただろう?」
そんな俺の問いかけに、応接室で向かい合わせに座ったレオナルドと夫人は頷く。
「あぁ、そんな話をしたな。うちでは牧羊犬が二匹いて、実は先月その二匹の子が産まれたところだ。四匹産まれたから、どこかに二匹引き取り手がいないか探し始めようと思っている」
なんというタイミングだろうか、その幸運に俺は顔を綻ばせて提案した。
「その一匹をうちに譲ってくれないだろうか? 俺の婚約者が犬が好きで、今はまだ悲しみが多く気落ちした姿が見受けられて。 好きな犬が家に来たら喜ぶと思うんだ」
この二人には、婚約したこともその相手のことも先日出会う機会のあった夜会で話している。
「あぁ、辺境伯家の一人娘だったか? 確かに辺境は放牧の豊かな地だったな」
「彼女の家でも牧羊犬を飼っていたらしい。 両親の死後、忙しいうちに老犬だった飼い犬も亡くなったと……」
その話に、表情を辛そうに歪めたのは友人の奥方の方だった。
「まぁ、なんて事でしょう。 ご両親に、飼い犬まで亡くされて……。それは気落ちもされますわ。 あなた。シャロン公爵様のところに、一匹お譲りいたしましょう」
奥方は、我が家に一匹引き取ることを賛成してくれた。
レオナルドもこの話を聞入れ、この二日後に引き取りに来ることに決めてこの日はお暇することにした。
そうして、現在我が家にはレオナルドのところから譲り受けた、茶色に白い毛も混じった可愛い子犬が一匹シャルロッテと一緒に仕事から帰宅した俺を出迎えてくれた。
「おかえりなさいませ、ハルバート様。マロンはとっても賢い良い子ですわ。もう、おトイレを覚えました」
とっても楽しそうに話すシャルロッテの姿に、子犬を迎えて正解だったと安堵する。