年上の旦那様は若奥様にメロメロです!!
彼女からしたら成金商家の後妻親父とさして変わらないかもしれないことにも絶望を覚えるが、一目見て気になるなど初めてなのだ。
昔、恋は理屈じゃないのよ、気づけば落ちているのといった女性が居た。
その時は理解できなかったが、今の俺は痛い程に理解できる。
恋は落ちるもので、落ちれば抗えるものではないということに……。
彼女の返事を根気よく待つ。
無理強いだけはしたくない、彼女の意思を尊重したい。
それでも、これが現時点での最優良策であることは間違いなく、彼女自身のためにも了承してほしいところだ。
後見人が居たとしても、彼女は辺境伯家の令嬢。
彼女の叔父で次期辺境伯が結婚相手を決めてしまえば、止める術は限られる。
しかし、公爵である自分と婚約していれば家格も上の家を相手にそうそう強引なことは出来なくなるのだ。
彼女はその澄んだ瞳で俺を見つめ、そして頷いた。
様子を見るに失意はあれど周囲の状況は理解できており、判断能力は鈍っていなかったようだ。
親を亡くしたばかりだというのに、その気丈な様子にすら惹かれてやまない。
「私のような娘が公爵様にご迷惑をおかけして申し訳ありません。ですが、父より年上の男性には嫁ぎたくありません。よろしくお願いいたします」
どうやら、相当年上の男の後妻にされそうだったらしい……。
益々放っておけない。
彼女が了承してくれたので家の家令にさっそく準備をさせて公爵家の力と俺自身のコネをうまく使った。
この日のうちに婚約の届を提出して、シャルロッテ嬢は俺の婚約者になったのだった。