君は愛しのバニーちゃん
※※※
「そんなこと言わずにさ〜! お願いだから、来てくれよ〜! 入学以来、3年連続でミスターコンに選ばれてる”亜帆大のミスターイケメン”こと、”チャラ王子瑛斗”の名前で合コン取り付けたんだからさ〜。瑛斗が来なきゃ、流れちゃうんだって! ……頼むよ〜っ!!」
「だぁーかぁーらぁーっ! 予定あるっつってんだろ!?」
あまりのしつこさに、若干イラッとしながら大きく溜息を吐く。
(朝からもう、何度目なんだよこの会話)
俺には今から、大事な用があるのだ。いい加減に諦めて欲しい。
「瑛斗ぉ〜! お前、最近付き合い悪すぎだろ〜! ……今日の合コン相手はスッチーだぞ?! ス・ッ・チ・イー!」
スッチーがなんだというのか。目の前の健をチラリと見れば、それは必死な顔で懇願している。
「スッチーなんて、興味ねーよ」
「ぅぐっ……。バカ野郎! 俺のエンジェルに謝れっ!」
「何がエンジェルだ、バーカ」
ウンザリとした顔で軽く睨みつければ、それは悔しそうな顔をして食いしばる健。
「引く手数多の瑛斗には、俺の気持ちはわからんだろうよ……っ! もう……っ何年、枯れてると思ってるんだー!! バカ野郎ぉーー!!」
「……んなの、知るかっ」
絡みついてくる気持ち悪い健を払いつつ、カバンから携帯を取り出して時間を確認する。
「あー……ヤバッ。もう、こんな時間か」
ポツリと小さく声を漏らせば、すかさず健が口を挟む。
「おいっ! 用ってまさか……っ。デートじゃないだろうなぁ!?」
「ちげーよ。……って、顔近ッ!? 一々くっつくなよ、気持ち悪ぃなっ!」
半泣きの健の顔を掴んで押しやれば、グイグイと更に近づいてくる健。その顔は見るも無残に潰れ、不細工極まりない。
黙っていれば、そこそこのイケメンなはずなのだが。健に女ができない原因は、こういうところにあるんじゃないかと常々思う。
「……っじゃあ、なんの用だよ!?」
「カテキョだよっ!」
「ハァッ!? カテキョだぁ!? ざけんなっ!! カテキョと合コン、どっちが大事なんだよっ!!」
「カテキョに決まってんだろっ!!!」
そんなの愚問だ。なにをどうしたら、合コンの方が勝るというんだ。
「おま……ッッ!? バカか、お前ッ!? 合コンだろッ!! 普通、合コンだぞ!?」
「お前の物差しで測るな! 今の俺は、カテキョに燃え(萌え)てるんだッ!!」
「嘘つけッ! お前が勉強に燃えるわけないだろっ!!」
「煩いッ!! 俺は今すぐ、うさぎちゃんに会いに行くんだっ! 離せッ!!」
「うさぎちゃんて何だよ!? やっぱりデートか!? ……デートなんだなっ!? この裏切り者ぉーーッッ!!!」
不細工極まりない顔をグイグイと寄せ、俺に向かってギャーギャーと喚きちらす健。
(あー……。うるせー。だからそーゆーとこな、お前に女ができない原因)
尚も必死に合コンへと誘う健を他所に、今しがた来たばかりのラ○ンメッセージを確認する。
【今日ね、瑛斗先生に見せたいものがあるの! ヒントは〜、とっても可愛いもの♡ それじゃ、また後でね! お楽しみにぃ〜】
(あぁ……。それは、君のことだね? うさぎちゃん……)
携帯片手に鼻の下を伸ばすと、もう片方の手元をチラリと見る。するとそこには、やっぱり潰れた顔の不細工な健がいて……。あまりの不快さに、チッと舌打ちを打つ。
(……散れっ! 不細工めっ!)
顔を掴む手にグッと力を込めれば、「い゛だい、い゛だいっ!」とこれまた不細工な声を上げる。
(可愛いうさぎちゃんが、俺を待ってるんだ……っ! お前に構ってる暇はない!)
痛い痛いと喚く健を無視して更にミシリと力を込めると、口直しと言わんばかりに右手に持った携帯を眺める。
そこに表示されたメッセージを改めて確認すると、これから始まる至福の時間を想像しては、鼻の下を伸ばしながらニヤリと微笑んだのだった——。
「そんなこと言わずにさ〜! お願いだから、来てくれよ〜! 入学以来、3年連続でミスターコンに選ばれてる”亜帆大のミスターイケメン”こと、”チャラ王子瑛斗”の名前で合コン取り付けたんだからさ〜。瑛斗が来なきゃ、流れちゃうんだって! ……頼むよ〜っ!!」
「だぁーかぁーらぁーっ! 予定あるっつってんだろ!?」
あまりのしつこさに、若干イラッとしながら大きく溜息を吐く。
(朝からもう、何度目なんだよこの会話)
俺には今から、大事な用があるのだ。いい加減に諦めて欲しい。
「瑛斗ぉ〜! お前、最近付き合い悪すぎだろ〜! ……今日の合コン相手はスッチーだぞ?! ス・ッ・チ・イー!」
スッチーがなんだというのか。目の前の健をチラリと見れば、それは必死な顔で懇願している。
「スッチーなんて、興味ねーよ」
「ぅぐっ……。バカ野郎! 俺のエンジェルに謝れっ!」
「何がエンジェルだ、バーカ」
ウンザリとした顔で軽く睨みつければ、それは悔しそうな顔をして食いしばる健。
「引く手数多の瑛斗には、俺の気持ちはわからんだろうよ……っ! もう……っ何年、枯れてると思ってるんだー!! バカ野郎ぉーー!!」
「……んなの、知るかっ」
絡みついてくる気持ち悪い健を払いつつ、カバンから携帯を取り出して時間を確認する。
「あー……ヤバッ。もう、こんな時間か」
ポツリと小さく声を漏らせば、すかさず健が口を挟む。
「おいっ! 用ってまさか……っ。デートじゃないだろうなぁ!?」
「ちげーよ。……って、顔近ッ!? 一々くっつくなよ、気持ち悪ぃなっ!」
半泣きの健の顔を掴んで押しやれば、グイグイと更に近づいてくる健。その顔は見るも無残に潰れ、不細工極まりない。
黙っていれば、そこそこのイケメンなはずなのだが。健に女ができない原因は、こういうところにあるんじゃないかと常々思う。
「……っじゃあ、なんの用だよ!?」
「カテキョだよっ!」
「ハァッ!? カテキョだぁ!? ざけんなっ!! カテキョと合コン、どっちが大事なんだよっ!!」
「カテキョに決まってんだろっ!!!」
そんなの愚問だ。なにをどうしたら、合コンの方が勝るというんだ。
「おま……ッッ!? バカか、お前ッ!? 合コンだろッ!! 普通、合コンだぞ!?」
「お前の物差しで測るな! 今の俺は、カテキョに燃え(萌え)てるんだッ!!」
「嘘つけッ! お前が勉強に燃えるわけないだろっ!!」
「煩いッ!! 俺は今すぐ、うさぎちゃんに会いに行くんだっ! 離せッ!!」
「うさぎちゃんて何だよ!? やっぱりデートか!? ……デートなんだなっ!? この裏切り者ぉーーッッ!!!」
不細工極まりない顔をグイグイと寄せ、俺に向かってギャーギャーと喚きちらす健。
(あー……。うるせー。だからそーゆーとこな、お前に女ができない原因)
尚も必死に合コンへと誘う健を他所に、今しがた来たばかりのラ○ンメッセージを確認する。
【今日ね、瑛斗先生に見せたいものがあるの! ヒントは〜、とっても可愛いもの♡ それじゃ、また後でね! お楽しみにぃ〜】
(あぁ……。それは、君のことだね? うさぎちゃん……)
携帯片手に鼻の下を伸ばすと、もう片方の手元をチラリと見る。するとそこには、やっぱり潰れた顔の不細工な健がいて……。あまりの不快さに、チッと舌打ちを打つ。
(……散れっ! 不細工めっ!)
顔を掴む手にグッと力を込めれば、「い゛だい、い゛だいっ!」とこれまた不細工な声を上げる。
(可愛いうさぎちゃんが、俺を待ってるんだ……っ! お前に構ってる暇はない!)
痛い痛いと喚く健を無視して更にミシリと力を込めると、口直しと言わんばかりに右手に持った携帯を眺める。
そこに表示されたメッセージを改めて確認すると、これから始まる至福の時間を想像しては、鼻の下を伸ばしながらニヤリと微笑んだのだった——。