没落姫の溺愛婚~双子の寵姫も楽じゃない!?~
「何だよ、何の話してるんだ?」

「彩希に、私と彬親のどちらが好みか聞いていたんだよ。
彬親も知りたいでしょ?」

 話の内容が気になるのか、彬親はこちらへ歩み寄る。
 そして、彩希の隣に座った。

 その反対側には芳哉がいて、彩希は完全に二人に挟まれてしまった。

 どうしよう、逃げられなくなった。

 どっちが好みかなんて聞かれても、本人を目の前にして言いにくい。

 そんな困惑など露ほども知らない双子は、彩希の顔を覗き込んで、じっと答えを待っている。

 綺麗な二つの顔が左右にあって、彩希は思わず顔を真っ赤に染めて俯けた。

(そ、そんなに期待の眼差しで見ないで~っ!)

 本当に答えに困る。

 もし、片方を好きだと言えば、もう片方が確実に拗ねるから、簡単には答えられない。

 それでも二人は聞きたくて知りたくて仕方ないらしく、さらに彩希に体を寄せて答えを大人しく待っていた。
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