没落姫の溺愛婚~双子の寵姫も楽じゃない!?~
「どっちが好みでも、俺達は拗ねねぇから。
ほら、素直に答えてみろ」

 彬親は彩希の頬に手を伸ばし、するりと優しく撫でる。

 それも、甘く艶やかな、色香たっぷりの柔らかな微笑みつきで。

 しかし、そんな艶やかな笑みを向けられた彩希はというと……。

(絶対に嘘だぁっ!
答え次第では、絶対に拗ねるくせに!)

 こんなに信用出来ない約束はない。

 甘く囁くなら彩希にではなくて、ちゃんと恋人に囁いてあげて欲しい。

 二人に恋人がいるのか、知らないけれど。

 彩希はぎゅうっ、と目を閉じて、心の中でそう願っていた。

「ほら、彩希。 聞かせてよ?」

「あう……、ど、どちらも素敵ですよ。
顔なら、どの殿方にも負けません」

 どうして、そんなにも彩希を気にするのだろうか。

 よくわからないけれど、本当に正直に言うと、他が霞んで見えるくらいにすごく綺麗だと思う。

 たまに見せるこの強引さがなければ、さらにいいのに…。

 彩希は恐る恐る、そう口にした。
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