没落姫の溺愛婚~双子の寵姫も楽じゃない!?~
 けれど……。

「私達は顔だけなの、彩希……?
もっといいところ沢山あるから、見つけてよ」

「結局両方かよ、お前。
一番楽な答えを選びやがったな。
それならせめて、可愛く甘えるように言って欲しかったな」

 言えと言われて、勇気を振り絞って言ったのに。

 やっぱり思っていた答えと違ったらしく、不満を口々に漏らし始めた。

 彩希は、二人に沢山貰った恩を返したいだけで、恋人でもない。

 二人の恋人であるのならまだしも、望み通りに言えるわけながないのに……。

「あー、なら質問変えるぞ。
彩希、お前まだ元婚約者の男忘れてねぇの?」

「え……?」

「いいから、素直に答えてくれ」

 いきなりの話題転換についていけなかった彩希が聞き返すと、矢継ぎ早に問いかけられる。

 その彬親の表情がやけに真剣で、戸惑ってしまって。

 彩希はちらりと助けを求めるように芳哉を見た。

 しかし、芳哉もまた真剣な表情で同じく彩希を見ていた。
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