別れの曲


今日の5時間目は数学で、授業中、彼はいつも通り心地よさそうに寝ていた。

4時間目に体育があり、持久走で疲れ切った皆は耐えきれずに寝てしまい、ついに先生からの怒りを買ってしまった。

そして連帯責任だ!と言われ、本来なら先生がやるはずだった週末課題のプリントのホッチキス止めの作業を放課後に、居眠り常習犯の長田くんと、いびきをかいて心地良さそうに寝ていた男子2人と、そして私とで手伝わされた。

私は授業中起きていたのに、誰も発言することのなかった先生の問いかけにもしっかり答えたのに、だ。


クラス長兼数学の教科担当の私は先生から『すまんが頼んだぞ!』と4人分のホッチキスとそこそこあるプリントの束を受け取った。

無視して部活へ行くという選択肢もあったが、頼まれたら断れない性格の私は「どんまい、私先部活行くね!」と私の肩を叩いた前の席で同じピアノ部のみのりを見送った。

目の前に積まれたプリントの束を見て、それから教室に残っている男子3人を見回して、はぁ、とため息をついた。

「ため息つくと幸せ逃げてくよ?」
長田くんがあくびまじりに言う。

「誰のせいでこうなってると思ってんのよ」
そう言ってやりたいのをぐっと堪えて

「逃げてくような幸せなんてないから大丈夫」
と皮肉まじりに言ってやった。


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