別れの曲


先生に渡されたプリントをまとめて、無事に全てのホッチキス止めを終えた。
4人で作業すると意外にも早く終わった。

残る仕事は先生にプリントとホッチキスを届けにいくだけ。あとは私がやるから、と他の皆に部活へ行くよう、早く帰るように促した。



「おお、早いな」
職員室に行き、机にドサッとプリントの束を置くと集中していたらしい数学の先生は目を丸くして私を見た。

まだ湯気の出ているカップに入れられたコーヒーの苦い匂いが鼻腔を蕩かす。一瞬私の気が緩んだのを感じ取ったのか、数学の先生は鼻で笑って言った。

「飲むか?」
「は、いらない」

ニヤニヤしながら私を見る数学の先生は実は幼馴染みのお兄ちゃん。
数学の担当になったのもお兄ちゃんにはめられたから。

「私もコンクール前で暇じゃないので。変な仕事押し付けないでくださいね。
では失礼しました」


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