夜の隙間のガードレール
◇
“ 流石優等生。きみはいつも頼りになるよ ”
“ 任せてよかったわ、次も期待しているわね ”
“ 毎回学年首席とは…感心するなあ ”
ああ褒め言葉が耳に染みる。
ありがとうありがとう。とんでもないですとんでもないです。別に大したことじゃないですから。愛想笑い。テンプレ。
利口な優等生として存在をインプットされた私を、おとなも学校のみんなも、都合のいい駒だと思っていないだろうか。
父親は私を、最高の装飾品だと思っていないだろうか。
私の妄言。でも真実。
私にはそういう目しか向けられない。
知ってる。理解。伊達に勉強やってない。
それなら簡単に失望して、絶望、おまえら私のことなんてひとつも知らないくせに。
勝手に殺すな。私を。
品定めなんて下世話にわらうな。私を。
だから取っ払う。
今日は水曜日、週のまんなか、平日、学校。
制服に手を伸ばした、ふりをした今朝。
ごめんね、優等生は風邪引いちゃって今日は寝ているわ。
なんてね。
なーんて。
マイクを片手に心底から叫ぶ。
「『不穏な悲鳴を愛さないで、』」
未来等 見ないで。
続けて何だか鬱っぽい。