夜の隙間のガードレール
ぼうっとする鈍い脳をおさめて、勝手に緩んだ規律とか倫理とか投げ飛ばした胸奥だけが軋む。
高校生って行き先がなくって嫌になる。
おとなは酒やタバコですべて忘れる。
未成年には許されない自由と忘却を知っている。
心だけが孤独に慣れても、どんなに癇癪を起こしても、熟したふりをして社交辞令、見た目を強く保っても。
ゆっくり進む17歳は私を引き留めてばかり。
引き留めて、周囲の反応、気にしてばかりだ。
私だって私だって。
言ってて自分で気持ちわるい。
たられば話は随一。
実行する気はないくせに、小さく周囲に反抗を見せたくなる心理。それってやっぱり小心者。
私にはぜんぶ、手放せない。
立ち位置も知識もこじつけられた規律も、心も、自傷でバランスを取りたがる情緒、父親からの信頼の目。
手放せない。
…手放せない、から、手放す。
そんなことで捨ててしまえるような軽い物体だったら。
こんなに苦しまない、とか、押し付けがましい。
わかっていた。
早めに摘まなきゃいけないこと。
ああでもなんて悔しくて。
悲しいの。
「バカでしょ」
バカでしょ。
放っていた携帯を決心壊して手にとった。
通知。
ちかちか白くて目に悪い。
[ 今どこにいるの? ]
[ 返事して ]
[ 迎えにいくから ]
不在着信。
……迷惑かけて、ごめんなさい。