夜の隙間のガードレール
夜がゆるゆると囲む。
ああ私が歌手だったなら、この低温と暗闇のために鬱を歌にこめて。
堂々と影を踏んで歩いていただろう。
でも違う。
烏滸がましい。
無くなって、消えて、簡単に取り除いて。
願っておさらばできていたらきっと楽でいられたし、私の醜さは許容の域で広がっていただけ。
抗ってみせたこの日だって、出会うことはなかっただろうに。
影を踏む。
このまま、そのまま、なかったことにできなかった。
弱い。弱いよ、優等生。
人の目気にしてバカみたいだよ。優等生。
でも、こういう呼吸しか、学べなかった。
本当はもっと可愛げだけを集めた無垢な女の子に、なってみたかった。とか、こういう思考だけは可愛いでしょ?
「明日からは上手に、」
上手にわらうから。
言うほど虚しくて嫌になる。
涙と認めるには不純で。
だって、ああ可哀想だなあって、冷静に分析してて白けちゃう。
乾いた笑いじゃあ格好つかない。どうせなら悲哀を込めて切ない表情で泣いて。
……、いいよね。
いいよ。
もう要らないものだから。
「ごめ、っ」
ん、ね。
私はなれなかった。あなたが望む存在に。