その瞳に映るのは
校門手前で女子バスケ部の一団を「お疲れ〜」と声をかけて追い越した時だった。
「宮野っ!待ってっ!」
猪瀬らと一緒にいた松田が声を張って呼び止めた。
「…なんだよっ。」
「……駅まで送って。」
「はあ??冗談だろ?駅なんて家と反対方向に行く気になんねぇよっ。」
「わかってる。でも聞きたい事があるの。」
珍しくあの松田が俯向いて言った。
「……わーかったよ。でも途中で話が終わったらそこで降ろすからな。」
「うん。」
さっき俺を呼び止めた声はなんだったのかと思うほど、本当に珍しく大人しい松田が後ろに乗った。
仕方なく松田を乗せて駅に向かったはいいがずっと無言の松田。
でも今の俺は、松田が話し始めるのを待つ余裕が無かった。