その瞳に映るのは



「なんで話さねぇんだよ。話あるってのは俺を足に使う口実か?」


「……紗夏の事。」


ぽつりと松田らしからぬ声に、ささくれ立っていた自分の苛立ちが少しだけ収まった。



「三島が何だよ。」

「……今日の宮野の言葉…。」

「なんだよ。俺のせいで三島が大人しくなったって言いたいのか?まぁ俺のせ」
「宮野は紗夏の事、それでいいの?」



は?



松田は俺の声を遮ったと思ったら訳わからない質問をしてきた。



俺は三島のこと……?



…………。



まさか?



ペダルを漕いで動かしていた足を止めて地面に降ろした。



「…お前の今の聞き方だと、俺が三島を好きだと言ってるように聞こえるのは気のせいか?」


「…違う、の?」

遠慮がちに呟く松田の声が肯定していた。



「はぁーーー。なんでそうなるんだよ。
確かに三島は可愛いってのは中学から知ってたけど一般論だよ。第一三島はな」

そこまで言って慌てて口を閉ざす。


ヤバい……。


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