その瞳に映るのは
しゃーねーなー。
うちらの班の影の支配者は俺なのではないか?とまんざらでもない気持ちになりながら、バッグの中からタオルを取り出して松田の顔に押し当てた。
「駅まで送ってやれなくてごめんな。
これから成瀬をぶん殴ってくるからここで降りろ。」
「……わかった。」
タオルで顔を隠した松田が素直に自転車から降りた。
「……私の分も殴って来てよ。」
「……てっきり渡辺だと思ってたんだけどな。」
言いながら松田の頭に軽く手を乗せた。
「気を付けて真っ直ぐ帰れよ。」
松田をそこに残して俺は来た道を全力で戻った。
勘違いでもただの自惚れでも何だっていい。
好きな女の頼みぐらい俺に出来るならやってやるっ!